論文ID: 23013
はじめに:手の遠位横アーチにおいて,どれくらいの可動域があるのか,利き手や非利き手,性や年齢などによる違いがあるのか明確に示されていない.
目的:本研究は,手の遠位横アーチの可動域において,利き手・非利き手,性,年齢での違いについて明らかにすることを目的とした.
対象:20~60代の健常成人118名(男性52名,女性66名)の両手を対象とした.
方法:ゴニオメーターを用いて,自動・他動で形成した遠位横アーチの各角度(母指成分,環指成分,小指成分)を測定し,これらの合計角度を遠位横アーチ角度とし,比較分析を行った.
結果:自動遠位横アーチは利き手(135.4±10.3°)で有意に大きく,また他動遠位横アーチでも利き手(168.9±12.1°)で大きかった.性別比較においては,自動・他動ともに利き手・非利き手で有意な違いはなかった.しかし,環指成分では女性で有意に可動域が大きかった.年代別では,若年層に比べ60代で,利き手・非利き手ともに自動・他動での遠位横アーチは有意に低下した.また,他動の利き手や小指成分では,30~40代でも低下を示し,年齢が増すと低下する傾向が示された.
まとめ:手の遠位横アーチへのリハビリテーションでは,利き手・非利き手や性,年齢を考慮した介入の必要性が示唆された.