論文ID: 23038
はじめに:回復期リハビリテーション病棟において歩行能力の評価は重要な課題である.しかし,従来の歩行能力評価尺度には,歩行困難である重症例の座位・立位能力や,歩行修正自立例での歩行補助具の違いを評価することには限界がある.そこでわれわれは,これらの限界を補う目的で,新たに歩行レベル評価尺度Walking LEVEL Scale(WaLS)を開発し,その信頼性と妥当性について検証することを本研究の目的とした.
方法:2022年11月17日~2023年5月6日の期間内に袋井市立聖隷袋井市民病院回復期リハビリテーション病棟に入院した患者を対象に,作成したWaLSを用いて評価した.統計解析は,検者内信頼性と検者間信頼性を明らかにするために重みづけκ係数を用いた.併存的妥当性はWaLSとFunctional Independence Measure(FIM)歩行項目と,WaLSとFunctional Ambulation Categories(FAC)の関連についてスピアマンの順位相関係数を用いた.有意水準は5%とした.
結果:分析対象者は脳血管42名,整形(骨折)47名,整形(非骨折)7名,廃用4名の計100名.検者内信頼性および検者間信頼性は,それぞれ重みづけκ係数0.989,0.951で有意であった.併存的妥当性は,スピアマンの順位相関係数でWaLSとFIM歩行項目は0.916,WaLSとFACは0.919であり,ともに有意な相関を認めた.
結論:回復期リハビリテーション病棟入院患者の歩行レベル評価において,WaLSは高い信頼性と妥当性を有することが示された.