慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者が終末期を迎えたとき,医師として,患者 のこれまでの人生やwell-being について考えることは少ないように思う。実臨床の現場では,血 液透析を導入したものの,入院透析となり,孤独に亡くなる透析患者も多い。Well-being が実 現できていれば,最期を迎える時にも幸せを感じるであろう。医師は,患者が幸せを感じるよう 全人的医療を提供すべきであるが,一方では社会的健康を促すことも重要である。実際,CKD 患者に対してadvance care planning やshared decision making(SDM)を行い,患者がwellbeing を実現できるよう,懸命に包括的支援を行っている。しかしながら,患者を取り巻く環境や 患者の意思などさまざまな社会的要因が絡み合うことから,医師も医療以外の側面から患者に寄 り添う必要がある。さらに,患者のwell-being を達成するためには医師自身がwell-being を実現 せねばならない。医師自らが幸せの因子を引き寄せるために努力することが,CKD 患者のwellbeing 実現に繋がると考える。コロナ禍だからこそ患者・医師自身のwell-being 実現を見つ め直す必要がある。