抄録
運動器,内分泌器官として機能する骨格筋の量・質の低下症サルコペニアは,生命予後,健康
寿命を規定する重要な疾患である。2010 年に策定されたEuropean Working Group on Sarcopenia
in Older People(EWGSOP)による診断基準は,2018 年の改訂時に(EWGSOP 2),加齢によ
る一次性サルコペニアと,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)や慢性心不全(chronic
heart failure:CHF)など疾患による二次性サルコペニアを分類することが,その重要性ととも
に明記された。CKD とCHF は多因子によって直接的,または併存症,栄養不良,薬剤などを介
して間接的に骨格筋量と質を低下させる。本稿では,各々によるサルコペニアの分子メカニズムと
共通点について概説する。また,最近CKD とCHF が相互に影響する心腎症候群(cardio-renal
syndrome:CRS)が,サルコペニアの病態を相乗的に悪化させるという説も浮上しており,“Cardio-
Renal Sarcopenia Syndrome” が潜在する可能性も議論する。