抄録
わが国の高齢化と医療の進歩により,サルコペニアなどの老年症候群を合併する高齢者が増加
している。特に,糖尿病あるいは慢性腎臓病患者のサルコペニア合併頻度は,一般住民よりも高
頻度であることが多くの疫学研究により示されている。一般に,加齢に伴う身体的な機能変化が
サルコペニアのリスクとなることはよく知られているが,糖尿病あるいは慢性腎臓病患者では,
加齢以外にも,高血糖,インスリン抵抗性,慢性炎症,アシドーシス,ビタミンD 不足などさ
まざまな病態がサルコペニアの発症・悪化に関与することが報告されている。そのため,糖尿病
性腎臓病を合併する高齢患者は,極めてサルコペニアリスクの高い病態であり,高齢糖尿病性腎
臓病患者の生命予後あるいは生活の質の改善のためには,その病態とサルコペニアリスクの関係
を理解することが重要となる。そこで本稿では,高齢糖尿病性腎臓病のサルコペニアリスク・病
態について概説したい。