抄録
わが国は超高齢社会を迎えており,透析現場においても認知症者が増えていることから非薬物
療法を中心とした医療者の認知症対応能力の向上が課題である。本総説では,認知症者の記憶の
特徴から考えるコミュニケーションの工夫,環境(刺激)と行動との関係に注目し,行動を分析
し対応を検討する応用行動分析について概説する。
認知機能障害の特徴としては,中性的(情動面にあまり影響しない)な内容や体験よりも,情
動喚起しやすい内容や体験が記憶に残りやすいことが知られており,このことを理解してコミュ
ニケーションを心がけることが大切である。またケアの妨げとなる行動がみられる場合には,そ
の行動がみられた直前の環境や医療/介護者のかかわり方(先行刺激)に注目し,その改善に努
めること,また行動がみられた後の対応(後続刺激)についても検討を行うことが,ケアを妨げ
る行動を減らすことに役立つと考えられる。