抄録
腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)は転換期を迎え,患者中心の治療目標の設定が重要視され
ている。一般的に血液透析(hemodialysis:HD)と比較し,在宅治療であるPD はより身体活動
が保たれやすいイメージがあるが,疫学研究ではPD 患者はHD 患者と比較し,身体活動量,サ
ルコペニアの有病率に差がないことが報告されている。PD 患者における運動介入の報告はまだ
まだ限定的であるが,quality of life(QOL)の向上やサルコペニアの予防効果が示されてきてい
る。2022 年には,国際腹膜透析学会とGlobal Renal Exercise Network が共同で,PD 患者におけ
る運動の実践に関する推奨事項を公開した。このような背景から,今後は運動への介入は,PD 患
者がより良い人生を送るために必要不可欠なものとなり,また医療者が積極的に取り組んでいか
なければならない課題である。