抄録
CKD の進行・合併症を防止するには,患者が適正に服薬することが前提となる。CKD は痛み
などの症状が現れずに徐々に病態が進行していくため,服薬の意義や必要性を実感しにくい。そ
のためにノンアドヒアランスとなり,CKD の進行を速めてしまう場合も少なくない。
ノンアドヒアランスでは,まずは正しく服薬できない原因を把握する必要がある。原因には飲
み忘れ,薬の飲みにくさ,症状がない,効果が実感できない,効果への疑心,副作用への不安,
服薬の意義の理解不足,用法用量を正しく理解できないなどさまざまである。心理面が関与して
いる場合は,心理面へのアプローチを行う。服薬の意義の理解が不足している患者には,エビデ
ンスや具体的な事例を示しながら,現実感を持てる説明をすることが重要である。ノンアドヒア
ランスに対する心理面へアプローチとして,効果への実感・期待を高め,副作用の不安を解消・
軽減し,服薬の意義や必要性を理解してもらう服薬指導を実践する。