抄録
フレイル状態にある高齢者においては,感染症全般について,発症,重症化のリスクが高い。
とりわけ,尿路感染症,誤嚥性肺炎などのcommon disease は反復感染を起こし,高齢者の身体
機能と生命予後の両方を損なっていく。そのため,早期治療に加えて,発症原因の解決,予防に
努めることが重要となる。尿路感染症について言えば排尿障害,誤嚥性肺炎について言えば嚥下
障害の治療が必要であり,そのためには,医師のみならず看護師・療法士を含む多職種連携での
対応が重要となる。近年の診療報酬改定において,排尿障害については排尿自立支援加算,嚥下
障害については摂食嚥下機能回復体制加算というチーム医療を前提とした新たな予防の枠組みが
求められるようになり始めている。