日本胸部疾患学会雑誌
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肺小細胞癌細胞の核DNA量と臨床病態との関連
阿部 庄作川上 義和
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1984 年 22 巻 10 号 p. 861-867

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抄録
肺小細胞癌36症例を対象に治療前の腫瘍細胞の核DNA量をMSPを用いて測定し, そのヒストグラムと症例の臨床病態, 特に予後との関係について検討した. 肺小細胞癌細胞の核DNA量ヒストグラムは分散幅がせまく, 多彩性に乏しく, G0G1期に相当する細胞の多い型 (A型) とS期, G2M期に相当する細胞の多い型 (B型) に大別された. 核DNA量ヒストグラムパターンにより肺小細胞癌患者の性, 年齢, 臨床病期, 組織亜型に差異を認めなかった. A型を示した肺小細胞癌症例はB型を示した症例より予後良好なことが多く, 治療後の再発率も低かった. 核DNA量ヒストグラムの解析により肺小細胞癌患者の予後を推測しうる可能性を示した.
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© 日本呼吸器学会
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