日本胸部疾患学会雑誌
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原発性肺癌患者における尿中修飾ヌクレオシド測定の意義
田村 伸介宮本 高明岩橋 徳明藤井 純司上木 昇瀬野 武山本 徹也安室 芳樹鍋島 健治波田 寿一東野 一彌
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1984 年 22 巻 8 号 p. 684-689

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抄録
原発性肺癌患者35名と正常コントロール群24名において, 代表的な尿中修飾ヌクレオシドであやプソイドウリジンを, 高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した. 肺癌患者35名における平均尿中プソイドウリジン濃度は37.3±15.7nmol/μmolクレアチニンと, 正常コントロール群24例の23.4±5.1nmol/μmolクレアチニンに比し, 統計学的に有意に高値を示した(p<0.001). 各組織型別には有意差は認められなかった. cut off 値を30nmol/μmolクレアチニンとした場合の sensitivity は65.7%, specificity は83.3%, 25nmol/μmolクレアチンとした場合は sensitivity 88.6%, specificity は66.7%であった. 血中CEA, フェリチン, β2-マイクログロブリンと有意の相関は示さなかった. 血中CEA値を組み合わせると cut off 値25では sensitivity は97.1%に上昇した. これらの結果から尿中プソイドウリジン濃度は, 原発性肺癌における有用なマーカーであることが示唆された.
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