日本胸部疾患学会雑誌
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ヒト肺胞マクロファージの放出アラキドン酸代謝産物
大串 文隆安岡 劭河野 知弘新居 康生林 秀樹土居 裕幸島田 久夫螺良 英郎
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1984 年 22 巻 8 号 p. 676-683

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抄録
ヒト肺胞マクロファージ (AM) を用いてAMのアラキドン酸代謝について, in vitro で検討した. 14C-アラキドン酸のAM脂質へのとり込みパターンは, 喫煙により変動していなかった. 次に zymosan で刺激したAMによるアラキドン酸代謝物の放出能について検討した. まずAMのTXA2放出能を, 1) TXB2量を radioimmunoassay 法で直接測定する方法と, 2) 14C-アラキドン酸で標識したAMから放出されるTXB2分画の放射能をAMにとり込まれた全放射能の%で判定する方法の2法で測定したところ, 両者の結果の間に有意の正の相関がみられた. そこで, 2) の方法でAMのアラキドン酸代謝物放出能を測定した. その結果, ヒトAMの細胞当りの cyclooxygenase product (PGE2 やTXA2)や, lipoxygenase product の放出能は喫煙により低下していた. しかし喫煙によりAM数が増加しており, 気管支肺胞洗浄液中の総AM当りのアラキドン酸代謝物の放出量は喫煙でむしろ増加していた.
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