1985 年 23 巻 10 号 p. 1184-1188
58歳の男性において胸膜炎, 間質性肺炎が先行し, 次いで慢性関節リウマチを発症し, 約1ヵ月間金製剤とステロイド剤投与が行なわれた. 関節症状が消失し放置していたところ, 間質性肺炎が急速に進行し, 関節症状も増悪した. 検査成績ではRA因子と共に免疫複合体も陽性であった. 高熱, 全身衰弱, 関節症状の増悪に加えて胸膜炎, 肺臓炎に伴なう進行性呼吸困難を悪性関節リウマチと診断し, prednisolone 30mg/日の投与を開始した. 症状, 検査成績の改善と共に血中免疫複合体は減少し陰性化した. 肺生検組織中に免疫複合体は軽度ながら沈着が証明され, 本例の病態, 特に関節外病変については, 免疫複合体が重要な役割を果たしている可能性が示唆された.