日本胸部疾患学会雑誌
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自然気胸により心嚢気腫を呈した先天性心膜部分欠損症の1例
中川 芳樹桑原 修中岡 和哉土肥 英樹大久保 俊平南川 哲寛内藤 雅裕国枝 武義吉岡 公夫
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1985 年 23 巻 12 号 p. 1480-1484

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抄録

左自然気胸にて心嚢気腫を呈し先天性心膜欠損症と診断, 開胸時に確認しえた珍しい症例を若干の文献的考察を加え報告した. 症例は17歳男性で運動時の息切れ・咳嗽を主訴とし, 胸部レ線にて左自然気胸, 心嚢気腫, 心膜部分欠損症の疑いと診断され, 胸腔ドレナージ後当院を紹介された. 心電図には異常は認められず皮下気腫もなかった. 腋窩法にて開胸, 大動脈弓前面から下方にかけ5×4cmの大きさの心膜部分欠損が存在し, 左心耳の突出と大動脈弓下縁が欠損孔を通して認められた. 左上葉S1+2にブラが1個認められ, これと胸壁との間に索状の癒着があり, 剥離してブラを含めてS1+2を部分切除した. 心膜欠損については左心の嵌頓および心臓脱などの危険性はないと判断し放置した. 術後は問題なく経過し退院した. 自然気胸にて心嚢気腫を呈し手術にて心膜欠損症が確認された例はきわめて珍しく, 本邦では3例報告されているだけである.

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