1985 年 23 巻 2 号 p. 199-203
1980年に slow reacting substance of anaphylaxis (SRS-A) が leukotriene (LT) C4, D4, E4 の混合物であることが判明して以来, それらの生理活性や病態生理面における役割が種々検索されている. 1980年以前には, この物質の測定法は tissue bioassay 法にのみ限られていたが, 構造決定がなされて以来LTの合成が可能となり, 種々の測定法が試みられるようになった. しかしながらまだ十分には確立されていないのが現状と言えよう. 今回著者らは, 検体をエタノール処理後直接高速液体クロマトグラフィでLTsの同定および定量を行い, tissue bioassay 法で生物活性の有無を確認した. 卵白アルブミンで能動感作したモルモット肺の灌流を行い, 抗原投与後の灌流液中に LTC4, D4, E4 を検出した. 放出される種類および量には個体差が認められたが, いずれもLTD4, E4 に比し LTC4 が高値を示した. また5-lipoxygenase 阻害剤であるAA-861の前処置により感作肺からの LTC4 放出量は有意に減少した.