日本胸部疾患学会雑誌
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持続性咳を主症状とした患者における潜伏性喘息といわゆるアレルギー性気管支炎の存在について
大橋 裕二本島 新司池森 亨介牧野 荘平
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1985 年 23 巻 2 号 p. 204-214

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抄録

呼吸困難, 喘鳴等のない慢性咳を主訴とした胸部レ線所見上正常な15症例について, アレルギー学的検査, 気管支鏡, 肺機能, アセチルコリン吸入試験およびその後の追跡調査を含めて検討した. 患者は, 総合的に判断して大きく3群に分類できるように思われた. I群は, 潜伏性喘息 (気管支喘息前段階), II群は, アレルギー性気管支炎, III群は, 非アレルギー性急性・慢性気管支炎である. I群とII群の差は, 気道過敏性の有無によると思われ, IおよびII群は末血好酸球増多例が多く, これらは組織にも好酸球浸潤を認め, ステロイド剤およびβ刺激剤が治療に有効であるようであった. III群は, 組織にリンパ球浸潤が主体であった. アレルギー学的検査, 気管支鏡検査, アセチルコリン吸入試験は, 慢性咳を主訴とする症例の中から, 潜伏性喘息やアレルギー性気管支炎の発見に, 有用な情報を与えると考えられた.

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