日本胸部疾患学会雑誌
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サルコイドーシスの気管支病変, とくに網目状血管変化についての1考察
市川 洋一郎林 俊治光武 良幸藤野 和馬田中 二三郎加地 正郎
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1985 年 23 巻 2 号 p. 215-219

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抄録

未治療のサルコイドーシス患者23例について気管支鏡検査を行った. 発赤, 浮腫などの非特異的所見は19例 (83%) と最も高率であつた. サ症に特異的と考えられる異常としては, 気管支粘膜の網目状血管増生15例 (65%), 顆粒状変化8例 (35%), 結節形成6例 (26%) が認められた. 高度の狭窄を来たした例はなかつた. 網目状血管増生は主気管支, 上葉支口部の軟骨輪側に強く, BHLを伴わない例にもみられた. 血管は互いに交叉して網目状を呈し, 他の炎症でみられる粘膜の一様な発赤とは明らかに識別できた. 網膜血管炎は16例 (69%) にみられた. 気管支粘膜の血管変化を認めた15例中, 網膜血管炎を有する例は14例 (93%) であり, 気管支粘膜の血管変化を欠く8例中網膜血管炎を有する例は2例 (25%) のみであり, 気管支粘膜にみられる網目状血管増生と網膜血管炎との間には密接な関連性があることが示唆された.

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