日本胸部疾患学会雑誌
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気道アナフィラキシーの反復によるβ遮断状態の獲得
モルモット実験喘息における肺β受容体と摘出気管筋のβ-adrenergic response の変化
榊原 博樹末次 勸梅田 博道
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1985 年 23 巻 2 号 p. 220-229

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抄録

bacillus subtilis 由来のα-amylase を抗原として, モルモットを経気道的に感作し, 感作の成立や気道アナフィラキシーの反復により,β遮断状態が獲得されるかどうかを検討した. 感作が成立しただけでは肺ホモジネートのβ受容体 (3H-DHA binding sites) や摘出気管筋のイソプロテレノールに対する弛緩反応 (β-adrenergic response) は変化しなかった. ところが, 感作後抗原を吸入させて気道アナフィラキシーをくり返すと, 肺のβ受容体は約80%に有意に減少し, 摘出気管筋のβ-adrenergic response も有意に低下した. この群のモルモットの血漿カテコールアミン濃度は著しく高値であったことから,β受容体の減少は, 体内のカテコールアミン濃度の上昇による down regulation にもとづくものと考えられた. したがって, 有症状期の喘息患者に認められるβ受容体機能の低下は, 喘息の原因というより, むしろ喘息発作が持続した結果ではないかと推察した.

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