日本胸部疾患学会雑誌
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尿崩症をはじめとする視床下部・下垂体系内分泌異常を伴い全身に多彩な病像を呈したサルコイドージスの1症例
福田 莞爾難波 学川瀬 一郎坂谷 光則小倉 剛岸本 進立花 暉夫
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1985 年 23 巻 2 号 p. 230-236

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抄録

症例は23歳男性で, 視床下部・下垂体系の内分泌学的異常をはじめ多彩な病態を呈したサルコイドージスと診断された. 初期には, Heerfordt 症候群, 食欲不振, 発熱や全身の表在性リンパ節腫脹が認められ, その後尿崩症が出現するようになった. 胸部レントゲン撮影にて, 両側肺門部リンパ節腫脹と右上肺野網状陰影が認められ, 眼底には, ぶどう膜炎等の典型的なサルコイドージス像が認められた.
検査成績では, 下垂体系ホルモンの分泌低下が存在し, 頭部CTにて鞍上部異常陰影が認められた. 諸検査より心臓, 肝臓と脾臓にもサルコイドージスの侵襲が疑われた.
ステロイド療法により, 尿崩症を除く全ての症状は消褪し, 胸部レントゲン撮影や頭部CTで認められた異常陰影も消失し, 内分泌学的異常所見も徐々に改善していった. 尿崩症については, 抗利尿ホルモンの点鼻により旨くコントロールできた.

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