抄録
フローボリウム曲線下降脚の勾配は正常者では約 3 (1/sec) で, 勾配1.9以下は1秒率69%以下, 勾配0.9以下は1秒率54%以下に匹敵する閉塞性障害を意味する. 下降脚の形を勾配と曲がり具合で, 直線型, 屈曲型, 曲線型, 扁平型に分けた. この順で換気障害は重くなり, 残気量増加やΔN2上昇の頻度が増した. 下降脚の形を換気・血流シンチグラムと対比させた. 直線型では換気の不均等分布は軽い. 屈曲型では肺内にまとまった換気不良域が存在する. 曲線型では巣状の換気不良域がびまん性に存在する. 扁平型は換気不均等分布が高度かつ全肺に進展したときが多く, まれに中心気道の高度閉塞例がみられる. フローボリウム曲線下降脚の曲がり具合は換気不良域と残りの健常肺の相互関係で決まると考えられる.