日本胸部疾患学会雑誌
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肺動静脈奇形を合併した肺葉内肺分画症の1例
Dynamic CT 所見を中心に
三沢 卓夫本郷 実大久保 信一山田 博美松岡 健曽我 直子河野 純草間 昌三
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1985 年 23 巻 6 号 p. 704-708

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抄録
症例は57歳の女性で喀血を主訴として当科へ入院した. 左背面下部に湿性ラ音を取聴するが, 血管性雑音, チアノーゼ, バチ状指は認められない. 胸部X線上左下肺野に均一な塊状陰影とそれに連なる索状陰影を認める. Dynamic CT 所見: 下行大動脈の左やや前方に異常構造物があり, 右室, 肺動脈の造影時相に一致して, その一部が造影され, さらに下行大動脈の造影時相に一致して, 索状構造物が強く造影された. また左房に関心領域を設定し, time-density curve を作成すると, 2峰性のパターンを呈していた. 肺動脈造影, 大動脈造影により, 左肺動静脈奇形を伴った肺葉内肺分画症と診断した. 喀血は慢性気管支炎が原因と考えられた. 本症例の肺葉内肺分画症の診断および肺動静脈奇形の存在の推定には, Dynamic CT がきわめて有用であった. 本症例は Pryce I 型およびIV型に類似するが, 厳密にはどの型にも分類し得ないと考えられ興味深い.
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