日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
Print ISSN : 0301-1542
ISSN-L : 0301-1542
肺癌の集学的治療の現在と未来
大田 満夫原 信之
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 24 巻 11 号 p. 1186-1191

詳細
抄録
肺癌は微小転移が多いので, 早期肺癌以外は化学療法が必要である. しかし, 集学的治療の成果が明らかにあがったのは小細胞癌である. 肺小細胞癌の第1の治療は多剤併用化学療法であり, 補助療法として放射線療法と肺切除がある. 肺切除の適応はI期症例である. 切除25例の5年生存率は37.2%であった. 完全寛解を得ることが長期生存への第1段階であり, 非切除CR例の5生率は11.9%であった. 非小細胞癌では, 切除術が最も有効で, 5生率はI期66.8%, II期35.3%, III期20%で, 全切除例では45.6%であった. 補助化学療法は無効であった. 非切除例では, 強力化学療法CAP-M療法が, MFC療法より奏効率が高く, 有意の延命効果をあげた. 肺癌治療成績の向上は, 今後化学療法の進歩にかかっている.
著者関連情報
© 日本呼吸器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top