抄録
雑種成犬を対象とした一側肺の移植後に, 対側肺動脈の閉塞試験を実施して移植肺の循環動態についてチェックした. 閉塞試験はスワンガンツカテーテルに特殊なバルーンを附着させ, 10分間一側肺動脈を閉塞し, その前後のコントロール値との圧差を検討するものである. 閉塞試験は術直後, 2日目, 7日目, 14日目に実施した. この方法によれば対側肺動脈の結紮によらずとも移植肺の生着状態・機能を推定し得ると考えられた. 対側肺動脈の閉塞により肺動脈圧の上昇がみられる場合, 血管吻合部異常あるいは移植肺に対する拒絶反応が生じていると判断された.