マウスにナフタレンを投与し, 経時的に主に細気管支上皮細胞の変性, 崩壊, 再生過程について, 光顕, 走査電顕, 透過電顕により観察した. 又, チトクロームP-450の阻害剤である piperonyl butoxide とナフタレンの組合わせにより, チトクロームP-450の局在について検討した. ナフタレン投与2時間後に, クララ細胞に変化が見られ, 2日後にはその変化は最高に達し, クララ細胞, 線毛細胞の壊死, 剥離が見られた. しかし2日後にはクララ細胞の分裂像が見られた. 7日以内に細気管支上皮は回復した. 肺胞I型細胞, II型細胞, 血管内皮細胞, 平滑筋細胞, 横紋筋, 線維芽細胞, axon, Schwann 細胞等にも変化が見られた. piperonyl butoxide を前もって投与しておくと, ナフタレンによる変化は阻止された. チトクロームP-450はクララ細胞では, 滑面小胞体, 粗面小胞体, 核膜周囲胞に存在する.
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