抄録
喫煙の肺の natural killer (NK) 細胞活性に及ぼす影響について, 健常人非喫煙者 (non smoker: NS), 喫煙者 (smoker: S) の気管支肺胞洗浄液 (bronchoalveolar lavage fluid: BALF) 細胞を用いて検討するとともに, 末梢血細胞との比較検討を試みた. BALF細胞のNK活性は, 末梢血に比較し著明に低く, 培養前はNS群, S群ともにNK活性は認められなかった. 24時間培養後, NS群ではNK活性が出現したが, S群ではNK活性の発現は認められなかった. 末梢血細胞NK活性は, NS群, S群間で差は認められなかった. BALF細胞のLeu-7+, Leu-11+細胞は, 末梢血に比較し低値を示し, 特にLeu-11+細胞は認められなかった. NS群, S群間による差は認められなかった. S群におけるBALFのNK活性低下の機序としては, 肺胞マクロファージ (alveolar macrophage: AM) による関与は少なく, 喫煙によるNK細胞自身の機能障害による可能性が考えられた. また, S群のBALF中にNK活性を抑制する因子の存在が示唆された.