日本胸部疾患学会雑誌
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ブレオマイシン投与ラット肺に出現する泡沫肺胞マクロファージの肺線維化に及ぼす効果
諏訪部 章中村 秀範八鍬 直五十嵐 浩一樋口 純子高橋 敬治安井 昭二
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1989 年 27 巻 1 号 p. 3-13

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抄録

ブレオマイシン (BLM) 傷害肺に出現する泡沫肺胞マクロファージ (FAM) と肺線維化の関係を検討した. BLM投与14日目のラットにBALを施行して得た細胞をパーコール比重遠心法により分離し, 最も低比重の細胞層をFAMとした. これは, 形態学的に高比重細胞より有意に大型で, BLM群総細胞数の8.5%を占め, その88%が生細胞であった. また, 非特異的エステラーゼ染色陽性であり, マクロファージとしての特徴を有していた. FAMはBLM群高比重細胞群と比較した場合, 分裂増殖能, IL-1産生能, 肺線維芽細増殖活性, 及び, PGE2産生能はいずれも低値を示した. しかし, 生食投与対照群と比較した場合, どの指標も有意に高値を示したことから, FAMは,「既に活性化された細胞」と考えられた. この既活性化細胞の出現は, 肺胞マクロファージが線維化促進因子を放出し, 肺線維化に深く関わっている可能性を示唆していた.

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