日本胸部疾患学会雑誌
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終末肺感染の検討
永田 忍彦石橋 凡雄重松 信昭居石 克夫
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1989 年 27 巻 1 号 p. 14-24

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抄録

昭和51~60年の九州大学病院における連続剖検例2238例について終末肺感染の実態を検討した. 検討症例の46.6%に肺感染症がみられ26.6%では死因に関与していた. 基礎疾患別では白血病などの血液疾患, 食道癌, 肺癌, 脳血管障害に高率にみられ, 病原別では一般細菌, アスペルギルス, カンジダ, 巨細胞封入体ウイルス, Pneumocystis carinii, 抗酸菌, クリプトコッカス, Phycomycetes の順であり, 非細菌性病原, 特に真菌の増加傾向がみられた. 肺癌の終末肺感染は抗酸菌感染症のほうが真菌感染症よりも多く, ステロイド剤投与症例では非投与例に比べて抗酸菌感染症が死因となるものが多かった. 非細菌性肺感染症および抗酸菌感染症で生前に病原が診断されたのは各々4.6%, 26.3%にすぎず, 真菌性終末感染のなかで最も多いアスペルギルスは一例も生前診断されていなかった.

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