日本胸部疾患学会雑誌
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サルコイドーシスにおける気管支肺胞洗浄液および血清中の抗 Propionibacterium acnes 抗体の検討
森 由弘中田 安成片岡 幹男江尻 東伍飛岡 徹前田 剛細谷 茂衛大熨 泰亮木村 郁郎
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1989 年 27 巻 1 号 p. 35-41

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抄録
サルコイドーシス患者の血清及び気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中の抗 Propionibacterium acnes (P. acnes) 抗体価をELISA法により測定した. BALF中抗 P. acnes 全免疫グロブリン抗体価は未治療サ症31例で412.3±443.9 O. D./アルブミン1mg (平均値±標準偏差値), ステロイド治療サ症10例で556.6±341.8, 対照16例で231.5±156.8であった. 未治療サ症及び治療サ症は, 対照例に比していずれも有意な亢進がみられた (p<0.05, p<0.02). しかし, 治療症例と末治療症例との間には差はなかった. 一方, 血清中では, 治療サ症例で健常者に比して抗体価の低下がみられたが (p<0.05), 未治療例では健常者との間に差はなかった. なお, 抗 P. acnes 抗体価が, BALF中で高かったことから本抗体は, 肺局所で産生されている可能性が強い. 以上より, サ症の肺局所における液性免疫に P. acnes が深く関与していると考えられた.
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