日本胸部疾患学会雑誌
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サルコイドーシス肺胞リンパ球の Propionibacterium acnes 刺激による Interleukin-2 産生及び Interleukin-2 receptor 発現の検討
森 由弘中田 安成片岡 幹男江尻 東伍飛岡 徹前田 剛細谷 茂衛大熨 泰亮木村 郁郎
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1989 年 27 巻 1 号 p. 42-50

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抄録

28例のサルコイドーシス患者 (サ症) の肺胞リンパ球の Propionibacterium acnes の pyridine extractresidue (P. acnes) 刺激による Interleukin-2 (IL-2) 産生とIL-2反応能を測定した. 未治療サ症21例のIL-2産生は, 9.8±15.7u/ml (M±SD) で, 治療サ症7例1.9±4.7u/ml, 対照13例0.2±0.8u/mlであり, 未治療サ症では, 対照例に比して有意な亢進がみられた(p<0.02). 未治療サ症11例の P. acnes 添加によるIL-2反応能は平均3,766dpmであり, 非添加時は1,123dpmと, P. acnes 添加によりDNA合成の亢進がみられた (p<0.02). これはIL-2の機能的 receptor の発現亢進を意味するものである. 対照群6例のIL-2反応能は, 各々平均335dpm, 460dpmと差がなく, IL-2 receptor 発現亢進は認められなかった. サ症肺胞リンパ球は P. acnes 刺激にて, IL-2産生及びIL-2 receptor 発現の亢進を介して肺局所にて増殖し, 胞隔炎の発症に中心的役割を果していることが示唆された.

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