日本胸部疾患学会雑誌
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開胸肺生検にて診断し得た Necrotizing Sarcoid Granulomatosis の1例
菅間 康夫松岡 緑郎北村 諭斉藤 建
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1989 年 27 巻 1 号 p. 75-80

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抄録

開胸肺生検にて診断が確定した, Necrotizing Sarcoid Granulomatosis (NSGと略す) の1例を報告した. 咳嗽, 喀痰で発症し, 胸部X線写真上空洞を伴う浸潤影および縦隔リンパ節腫脹を指摘された. 肺外病変は認められなかった. 検査所見では軽度の炎症所見と血清ACE (angiotensin converting enzyme) の上昇が認められた. BAL (broncho-alveolar lavage) では, リンパ球, 好中球の増多およびBAL中リンパ球OKT4/OKT8比の低下が認められた. 経気管支肺生検 (TBLB) では限局型 Wegener 肉芽腫症と鑑別が困難であり, 開胸肺生検で多数の典型的な類上皮細胞肉芽腫および肉芽腫性血管炎が認められ, 診断が確定した. ステロイド剤の投与にてX線写真上の空洞の著明な縮小と浸潤影の改善が得られた. NSGの診断には開胸肺生検が必要であると考えられた.

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