日本胸部疾患学会雑誌
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肺静脈還流異常を伴い胸痛を主訴とした先天性気管支閉鎖症の1例
獅子原 孝輔戸島 洋一藤田 明山口 哲生長尾 啓一栗山 喬之岩井 直路藤沢 武彦山口 豊笠松 紀雄大和田 英美
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1989 年 27 巻 1 号 p. 81-86

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抄録

症例は21歳男性で運動時の胸痛を主訴とし, 胸部X線写真上左肺門近傍の腫瘤様陰影とその周辺の透過性亢進が認められた. 同所見は13年前の写真においても存在し, 透過性亢進領域が経年的に増大していることが確かめられた. 気管支鏡では異常所見無く, 腫瘤様陰影は左S1+2末梢領域に存在していたが気管支造影では左B1+2との連続性は認められなかった. その特徴的な胸部X線写真と換気血流スキャンを含む諸検査より先天性気管支閉鎖症と診断した. 又肺動脈造影の静脈相で左上肺静脈の腕頭静脈への還流異常が疑われ, 左腕頭静脈からの逆行性造影で確認した. 気腫性病変が正常肺を圧排していること, 運動時胸痛の症状があることより, 左上葉切除術を施行した. 先天性気管支閉鎖症と部分肺静脈還流異常症の合併例の報告は無く, 発生機序を考える上で興味深いと思われたため報告した.

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