日本胸部疾患学会雑誌
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喉頭部の蜂窩織炎から縦隔炎, 左膿気胸を併発した1例
塩田 哲広池田 貞雄小西 孝明石田 久雄塙 健八木 一之小鯖 覚松原 義人畠中 陸郎船津 武志
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1989 年 27 巻 11 号 p. 1367-1370

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抄録

症例は64歳女性. 54歳から糖尿病と高血圧にて投薬治療を受けていた. 1988年2月, 咽頭部痛と嗄声が出現し, 次第に嚥下困難と左下顎部の疼痛が激しくなるため耳鼻科を受診し, 喉頭部の蜂窩織炎と診断され某病院に入院した. 入院後呼吸困難が激しくなり, 左無気肺の出現と胸水の増加が認められた. さらに左気胸も併発したため, 胸腔ドレナージが行なわれたのち当科に転院した. 胸部X線所見では, 縦隔と心陰影の拡大, 縦隔気腫, 左気胸, 両側胸水貯溜が認められた. CTでも, 著明な縦隔気腫が認められた. 直ちに全身麻酔下に左下顎部の膿瘍を切開し, 開放創とした. さらに縦隔と左胸腔にドレーンを挿入した. 創部から採取した組織と膿の培養からカンジダ症と診断された. 縦隔および左胸腔ドレーンから抗真菌剤の注入を行なうと同時に, 全身的にも抗真菌剤の投与を行ない5ヵ月後に軽快退院した.

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