日本胸部疾患学会雑誌
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ヒト摘出肺動脈に対する血小板活性化因子 (PAF) の作用と血管内皮の関与
小野 貞文小池 加保児谷田 達男久保 裕司芦野 有悟千田 雅之鈴木 聡磯上 勝彦那須 元一斎藤 秀行相良 勇三佐久間 勉仲田 祐
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1989 年 27 巻 8 号 p. 910-916

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抄録
ヒトの肺循環系に於ける血小板活性化因子 (PAF) の果たす役割, 及び, その作用の発現に於ける血管内皮, cyclooxygenase 系の関与を明らかとすることを目的とし, 摘出ヒト肺動脈を用いて検討した. 内皮傷害の肺動脈では, 10-6MのPAFにて, 緩徐で弱い収縮作用が認められた例があったが, 他の肺動脈では, 内皮非傷害, 内皮傷害のもの共に収縮あるいは弛緩は認められなかった. 10-7MのPAF前投与により, 肺血管収縮物質である Histamine, Prostaglandin Fの収縮は抑制された. この抑制作用は内皮依存性であり, cyclooxygenase 系は関与しなかった. ヒトにおいて, PAFは, 内皮細胞由来の血管弛緩物質 (EDRF) を介して作用を発現する可能性が示唆された.
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© 日本呼吸器学会
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