日本胸部疾患学会雑誌
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換気血流シンチグラフィーによる肺切除術後残存肺機能の検討
畠山 茂毅原内 大作木下 雅俊佐尾山 信夫原田 邦彦門田 康正須井 修
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1989 年 27 巻 8 号 p. 903-909

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抄録
肺切除術後の術側残存肺機能を換気血流シンチグラフィーを用いて検討した. 対象は18例で, 8例は末梢性肺癌のために肺葉切除術を受け, その術前と術後約1ヵ月後にシンチグラフィーが行なわれた. 4例は1区域以下の肺部分切除例で, やはり術前術後にシンチグラフィーが行われた. また, 8例には肺葉切除術後6ヵ月以上経過後にシンチグラフィーが行われた.局所肺の洗い出し能の指標として, mean transit time (MTT) を用いた. 術側肺のMTTを対側肺との差でみると, 術後MTTは術側肺で延長傾向があり, 部分切除例に比べて肺葉切除例 (葉切例) の方が, 延長著明であった. 葉切例について, 術側V, Qの術前後の低下度を比較すると, Vに比べQの方に低下傾向が大であった. また, 術後6ヵ月以上経過例でも, 術側MTTは対側に比べて遅延しており, 術側残存肺の換気機能低下は, 長期にわたって存在することが確認された.
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