日本胸部疾患学会雑誌
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びまん性汎細気管支炎様の臨床像を呈した Bare Lymphocyte Syndrome の1例
杉山 幸比古工藤 翔二北村 諭
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1989 年 27 巻 8 号 p. 980-983

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抄録
リンパ球上に HLA-class I 抗原の表現を欠如する例が Bare lymphocyte syndrome (BLS) として報告されている. 著者らは, 慢性副鼻腔炎, 胸部X線像上の粒状影, 閉塞性障害, 寒冷凝集素価の上昇といった, びまん性汎細気管支炎 (DPB) の臨床像をとったBLSの1例を経験した. 一般のDPBでは明らかな免疫不全は発見されていないが, 本例の存在や他の副鼻腔気管支症候群の例から考え, DPBでは何らかの免疫不全と, 個体の肺組織における過剰反応性の素因とが病因の可能性として考えられる. エリスロマイシン (EM) による抗細菌作用ではない治療効果と, 最近のEMの免疫抑制作用に関する知見はこれを裏付けるものと考えられる.
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