日本胸部疾患学会雑誌
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原発巣切除後12年にて Endobronchial Metastasis を呈した再発乳癌の一切除例
横井 香平宮沢 直人森 清志斉藤 芳國富永 慶晤鈴木 恵子
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1990 年 28 巻 5 号 p. 761-766

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抄録
近年の気管支鏡検査の普及に伴い, その可視範囲内に腫瘍を認める転移性肺腫瘍, いわゆる Endobronchial metastasis を経験する機会が増して来ている. 症例は54歳女性で, 42歳時乳癌のため左乳房切断術を受けている. 咳嗽, 血痰を訴えて来院, 胸部単純X線写真では異常を認めず, 気管支鏡検査で右中間気管支幹をほぼ閉塞する polypoid 病変と周囲気管支の浮腫, 肥厚を認めた. 生検組織は腺癌で, 中下葉管状切除術を施行した. 腫瘍は気管支外膜から粘膜下に主体があり, 周囲リンパ節に連続性に浸潤していた. 組織型は硬癌で, 12年前の乳癌組織像と一致し, 乳癌の Endobronchial metastasis と診断した. 乳癌の Endobronchial metastasis の報告は本邦では比較的少ないものの, 欧米では腎癌等と同様頻度が高いものと考えられており, 今後乳癌切除後に何らかの呼吸器症状や胸部異常影を示す症例に対して, 積極的に気管支鏡検査を施行して行く必要があると考える.
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