日本胸部疾患学会雑誌
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拡張気管支に多数の Meniscus Sign を呈した Williams-Campbell 症候群と考えられる成人例
藤下 雅敏片岡 隆策小林 誠三好 勇夫
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1990 年 28 巻 7 号 p. 1018-1023

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抄録
49歳女性が胸部X線異常の精査のため昭和59年受診した. 3歳で肺炎に罹患して以来中学校まで喘息として治療を受けたが, 以後症状はなく, 昭和58年のX線では多数の輪状影があった. 昭和59年から湿性咳嗽があり, 拡張気管支に meniscus sign を伴った腫瘤状影が形成され, 喀痰からは緑膿菌が持続的に検出されるようになった. 昭和62年, 63年と左下葉の浸潤影が出現し, 炎症反応の悪化に伴って腫瘤状影は増加, 増大し, 症状の軽快にしたがって縮小した. 喀痰, 気管支分泌物から真菌は検出されず, 抗アスペルギルス抗体陰性, IgE正常, アスペルギルスに対するRAST陰性, 抗真菌剤も無効であった. 気管支造影で嚢状に拡張した気管支が見られ, 吸気で風船様に拡張し呼気で虚脱し, 末梢には正常の気管支が造影された. 以上より Williams-Campbell 症候群と診断し, meniscus sign の原因は拡張気管支内の粘稠な分泌物と考えられ, 本症に特有な所見の可能性がある.
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