抄録
親族内発生のオウム病 (以下本症) 3例を報告した. 症例1 (46歳女性)・症例2 (18歳女性) は母娘で, セキセイインコの雛を購入し自宅室内で放し飼いにしていた症例3 (49歳女性, 症例1の姉, 症例2の伯母) の自宅を訪れ, 購入時より雛の世話をしていた. 症例1は発熱, 頭痛, 嘔気で髄膜炎を疑われ, 神経内科に入院したが, 低酸素血症, 肝障害, 胸部X線写真で陰影を認め, 問診により本症を疑われた. 症例2・3は発熱, 頭痛等で発症し, 胸部X線写真で陰影を認め, 問診で本症と考えた. 血清 Chlamydia CF 抗体価は症例2・3ともに32倍に上昇し, 本症と診断した. 最も重症の症例1は経過を通じ16倍で, CF抗体価の上昇をみなかったが, 臨床的に本症と診断した. 雛との接触歴が重要で, 問診が本症診断の重要な糸口となる. またCF抗体価の上昇をみない症例も存在し, 単独発症の場合は診断が困難で, 臨床的に興味ある症例と思われた.