抄録
56歳の男性が発熱, 頭痛, 咳嗽, 喀痰, 右側腹部痛を主訴に某医に入院. 胸部X線写真上, 右上肺野に浸潤影を認め肺炎と診断され, セフェム系とアミノグリコシド系の抗生剤を投与されたが, 改善せず浸潤影は右上葉より中下肺野, 左肺へと移動するため当科へ転院. 当科転院時CPR 6+, 赤沈119mm/1h, WBC 3,000/mm3, 寒冷凝集反応 (CAR) 512倍で血清のレジオネラ菌凝集反応が陽性であったため, マイコプラズマ肺炎, レジオネラ症を疑いEM, MINOの投与を開始し, 症状, 肺炎像も改善した. その後の検査で, クラミジア抗体価が入院当初の128倍から2週間後には512倍へと増加したため, オウム病と診断した. その経過中, 一過性に肝機能障害がみられた. レシオネラ菌間接蛍光抗体価は陰性であった.