抄録
本邦における閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) 患者の治療経過, 予後, 臨床症状, 交通事故の有無などを明らかにするためポリソムノグラフィー診断後, 1年以上の経過をみた34症例について検討した. 34症例の平均観察期間は36.0±19.7 (SD) ヵ月, 無呼吸低換気回数/時間 (AHI) は50.8±24.9であった. OSASに対する体重減量療法は, 当初, 有意な (p<0.01) 体重減量をみたが, 再度体重増加を招いていた. NCPAP療法は5例に施行され, 非常に有効であったが, NCPAP装置購入費の経済的援助が必要と思われた. アセタゾラマイドは10例に使用され, 5例において継続使用されていた. 日中の傾眠傾向は約60%にみられ, 運動免許保持中の25名中9名は交通事故を経験し, 交通事故経験者にはAHI 30以上の症例が多かった. 経過観察期間中の34症例においては, 重篤な脳心血管障害は認められなかったが, 今後さらなる継続した治療及び予後調査が必要であると思われた.