日本胸部疾患学会雑誌
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肺小細胞癌における血清 Carcinoembryonic antigen (CEA) 値測定の臨床的意義
日野 光紀小笠原 秀人吉井 章米田 修一野口 行雄酒井 洋吉田 清一
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1992 年 30 巻 2 号 p. 278-284

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抄録
肺小細胞癌症例に対する血清CEA値測定の臨床的意義を検討した. 特に初回診断時の血清CEA値と抗癌剤による化学療法の効果との関係につき分析した. EIA法にて血清CEA値が10.0ng/mlを越える高値症例は評価可能97例中26例であり, これらの症例は抗癌剤化学療法に奏効しない傾向にあった. さらに生存期間に関してはLD症例に限ってみるとCEA値高値症例はそれ以下の値を呈する症例に比して生存期間が短い傾向を示した. 以上の事実より, 小細胞癌症例では腫瘍の広がりが比較的軽度であるにもかかわらず血清CEA値が高値の症例は, その抗癌剤による化学療法に対する奏効性や, それにともなう生存期間の違いなどからも従来の小細胞癌から独立した, biological combined type として治療の上でも他の小細胞癌と区別する必要がある可能性が示唆された.
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