日本胸部疾患学会雑誌
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心停止を生じ救命された睡眠時無呼吸症候群の1例
南方 良章小林 秀机新実 彰男杉田 孝和堀川 禎夫鈴木 雄二郎西山 秀樹前川 暢夫
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1992 年 30 巻 2 号 p. 333-337

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抄録
71歳男性. 日頃より夜間の激しい鼾と昼間の傾眠傾向を指摘されていた. 日中居眠りをし, 鼾の中断とともに心停止を生じ蘇生された. 睡眠時呼吸モニターにて閉塞型, 中枢型, 混合型の混在する睡眠時無呼吸症候群 (SAS) と診断したが, 呼吸不全や心不全は認めず, 臨床検査上も異常はみられなかった. 一般に心停止を生じるSASは, 過度の肥満や, 高血圧, 不整脈, 右心不全, 二次性多血症, 精神症状等の随伴症状を伴った症例である事が多い. しかし本例はそれらの症状を伴わず突然心停止を生じ, 鼾や昼間の傾眠傾向がある人に対する睡眠時の呼吸モニタリングによるスクリーニング検査の重要性が示された. 治療ではUPPP単独にて効果は不十分であったが, 側臥位睡眠との併用が有効であった. UPPPの有効率は50~60%とされており, 今後狭窄部位の的確な評価方法ならびにUPPPの正確な適応基準の確立が切望される.
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