1992 年 30 巻 4 号 p. 643-647
症例は22歳男性で肝生検後の感染予防にてフロモキセフ (FMOX) を使用した. その後, 急激に呼吸困難が出現し, 胸部X線上において両肺野にびまん性の小粒状影を認めた. 薬剤性肺臓炎を疑い, プレドニゾロン投与を行ったが十分な改善が見られなかったため, メチルプレドニゾロンによるパルス療法を開始した. 施行後, 自覚症状, 血液ガス分析ともに著明な改善を認めた. 以上の臨床経過と, その他の検査所見上急激に発生する原因疾患が見られず, 又リンパ球刺激試験にて目FMOXが陽性を示した事から, FMOXによる薬剤性肺臓炎と診断した. FMOXによる薬剤性肺臓炎の最初の報告例と思われる.