日本胸部疾患学会雑誌
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柴朴湯 (TJ-96) によりPIE症候群を併発した気管支喘息の1例-リンパ球由来の好酸球遊走活性の検討を含めて-
宗田 良高橋 清多田 慎也岡本 章一片木 幸恵御船 尚志金広 有彦梶本 和宏高橋 寿保木村 郁郎
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1992 年 30 巻 4 号 p. 662-667

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抄録

気管支喘息に用いた柴朴湯 (TJ-96) によるPIE症候群の1例を経験し, TJ-96刺激にて患者リンパ球から好酸球遊走活性物質 (ECF) の産生が認められ報告した. 症例は56歳の女性で, 昭和52年より中高年発症難治性喘息として近医で加療を受けていたが, 昭和62年に当科に入院し Disodium cromog-lycate によるPIE症候群を併発していることが判明した. 以後当科にて加療を続け, 平成1年12月よりTJ-96 (7.5g/day) の投与を開始したところ, 平成2年4月ごろから胸痛を伴う咳嗽が始まり, 著明な好酸球増多と胸部レ線にて浸潤影を認めた. 経過よりTJ-96によるPIE症候群が疑われたためTJ-96の中止と steroid の増量を行い症状は改善した. TJ-96によるリンパ球幼若化反応は著明に亢進し, またその培養上清中にECFが認められた. 柴朴湯によるPIE症候群は本例が第1例と思われ,また薬剤添加によるリンパ球由来のECPの同定も始めてと思われた.

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