日本胸部疾患学会雑誌
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繰り返す肺炎が発見動機となりNd-YAGレーザー治療により切除し得た気管支線維腫の1例
中島 正光矢木 晋渡辺 正俊守屋 修橋口 浩二沖本 二郎副島 林造真鍋 俊明
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1992 年 30 巻 4 号 p. 673-678

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抄録

症例は59歳, 男性. 肺炎を繰り返しNd-YAGレーザー治療により切除し得た中間気管支幹より発生した気管支線維腫の1例を報告する. 1986年4月に発熱, 咳嗽が出現, 胸部X線写真では右下葉に浸潤像を認めた. 肺炎の診断のもと近医に入院, 抗菌剤による治療で軽快した. しかし, 1986年12月, 1987年8月の2回にわたり同様の右下葉に肺炎を繰り返したため, 川崎医大呼吸器内科に入院となった. 胸部X線写真では中間気管支幹腔内に腫瘤影を認め, その末梢側には浸潤影が見られた. 気管支鏡検査を施行し, 中間気管支幹腔内に約90%程度の閉塞を示す隆起性病変を認め, この部位の生検により気管支線維腫と診断した. さらに, Nd-YAGレーザー照射により腫瘍茎部の焼灼, 切除を試み切除することが出来た. 以後, 定期的な気管支鏡検査による経過観察を行い, 3年9ヵ月後の現在においても再発を認めていない.

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