1992 年 30 巻 4 号 p. 679-683
症例は19歳, 男性. 繰り返す血痰を主訴に来院. 胸部単純像で大動脈に接する索状影と左肺底動脈幹の欠如を認めた. 胸部CT像では明らかな嚢胞性変化は認められず, 左肺底区の末梢血管影の強調, 肺野濃度の軽度の上昇を認めた. 肺動脈造影でA6以下の肺動脈が欠損していること, 大動脈造影で胸部大動脈から分岐している異常血管が左肺底区を支配していることが判明した. 正常肺組織の一部が大動脈より分岐した異常動脈に支配された状態を強く疑い左下葉切除術を施行し確診を得た. 組織所見との対比の結果, 上記CT所見は末梢肺の状態を良く反映しており本症の診断に寄与するものと考えられた.