日本胸部疾患学会雑誌
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金剤とブシラミン投与中に発生した薬剤性肺炎の1例
田中 春仁中原 康治後藤 紘司
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1992 年 30 巻 4 号 p. 695-701

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抄録

65歳女性, 関節リウマチのため金リンゴ酸Naとブシラミンを投与され, 関節症状は軽快していた. 皮疹が出現し金剤を中止したが, 高熱, 脱毛が続発し呼吸困難を訴え入院した. 胸部X線上びまん性線状網状影を認め, 気管支肺胞洗浄液 (BALF) では, リンパ球数が増加しOKT4/8比が0.22と低値であった. 経気管支肺生検 (TBLB) の光顕像にてマッソン体をもつ胞隔炎像, 電顕像にて広汎な肺胞一毛細管隔壁の破壊を伴う間質浮腫を認めた. 薬剤中止により, 解熱とともに陰影は改善した. さらにリンパ球幼若化試験 (DLST) では両薬剤に陽性を示したため, 薬剤性間質性肺炎と診断した. 金剤の中止後に発症した経過より, ブシラミンが原因と考えられるが, ブシラミンと金剤の相互作用も考えられる. ブシラミンによる間質性肺炎は重篤であり, 注意すべき副作用であると考えられた.

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