日本胸部疾患学会雑誌
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空洞形成を認めたサルコイドーシスの1例
吉井 千春今井 慎小畑 秀登二階堂 義彦永田 忍彦城戸 優光
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1992 年 30 巻 4 号 p. 719-723

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抄録

症例は23歳の男性. 平成2年の健診で胸部異常陰影を指摘されて来院. 自覚症状はなく, 胸部X線写真上, 両側肺門・縦隔リンパ節腫大と肺野に多数の斑状影を認めた. TBLBにてサルコイドーシスと診断し, 無治療で外来経過観察の予定であったが来院せず, 平成3年の健診で肺野病変の増悪を指摘され, 当科入院となった. 入院時の胸部X線写真で, 以前より存在していた肺野の斑状影内部に空洞形成を認めた. 繰り返し行った喀痰検査は陰性でツ反も陰性のため, 結核をはじめとする感染による空洞は否定的で, Rohatgi らの言う Primary acute pulmonary cavitation と考えられた. サルコイドーシスに合併する空洞性病変のほとんどは, 線維化や感染に由来する続発性のものであり, 原発性はきわめて稀であると考えられたため, 文献的考察を加えて報告する.

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