抄録
症例は67歳, 女性. 発熱, 乾性咳嗽, 労作時呼吸困難で発症し当科入院. 病歴, 胸部レントゲン写真, 経気管支肺生検, 気管支肺胞洗浄など諸検査により特性間質性肺炎 (IIP) と診断した. プレドニゾロンを40mg/日より投与開始したが, 約3ヵ月後に急性増悪. パルス療法行ったが効果なく, 呼吸不全で死亡した. 剖検肺の組織所見は, usual interstitial pneumonia (UIP) と diffuse alveolar damage (DAD) の所見と著しいリンパ球浸潤と巨細胞封入体がみられ, サイトメガロウイルス (CMV) 肺炎の合併と診断された. 入院時, IIP増悪時, 死亡直前ともCMVの補体結合反応は陽性であるが, 変動は見られれなかった. また酵素抗体法でもIgG抗体は陽性で変動なく, IgM抗体は陰性であった. 臨床経過からはステロイド投与にもとつく免疫能低下によるCMVの回帰発症と思われた.