日本胸部疾患学会雑誌
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CTで経過を追うことができたインフルエンザBウイルス気管支肺炎の1例
田中 裕士渋佐 隆菅谷 文子高畠 博嗣山岸 雅彦森 雅樹浅川 三男鈴木 明
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1992 年 30 巻 5 号 p. 947-951

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抄録

症例は69歳, 男性. ら気管支喘息で外来治療中, 突然, 発熱, 咳嗽および呼吸困難が出現し, PaO2が54.8torrと低酸素血症を示した. 胸部単純像では, 上肺野に強い傾向を示すびまん性粒状影と両側性胸水が認められた. CT像では, 経気道散布性の分布を示す気管支・肺動脈陰影に連続した粒状影が認められ, それらの一部は融合傾向を示していた. さらに発症前のCT像と比較して, 気管支壁の肥厚や肺動脈陰影の拡大も認められた. 抗生物質,γグロブリン製剤を3日間投与したが改善しなかったため, methylprednisolone 120mg を投与し, 症状およびX線学的所見はすみやかに改善した. 血中抗体価の有意な上昇, X線学的所見および臨床経過より, 本例をインフルエンザBウイルス (B/Singapore/79) 気管支肺炎と診断した. ステロイド治療23日後のCT像でも, 粒状影が軽度認められたことから, 本肺炎では細気管支炎が残存しやすいことが示唆された.

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